ダークエンジェル

「弁護士さん、父さんは、
あの人たちに何か感じたのに何故結婚したのだろう。」


「さあ、私は龍彦君がなついたから、だと思いましたよ。

まあ、こう言ってはなんですが、
高倉氏は龍彦君のお父さんにしては高齢ですよね。

それに本当のお母さんは出産前に亡くなられたとか。

だからその分、可愛くて堪らなかったのではないですか。

だから、龍彦君ににぎやかな家庭の味を体験させようと思ったのではないですか。

君より小さい女の子が二人もいれば、
うるさいぐらいにぎやか、と思ったのでしょう。」


「だけど僕は… 初めから嫌いだった。

僕は父さんと二人の静かな生活が好きだったんだ。
父さんは嬉しそうだったけど… 」


「そう、それならお父さんが求めたのかなあ。

お父さんも一人っ子で30代の初めにご両親を亡くされているから… 

40代の前半、君の親になるまで寂しかったんじゃあないかなあ。

だから君が大切なんだよ。」



素高は自分なりの考えを話している。




「それにな、親父さんも男ってことだ。

同じ研究室に好みの女が来て… 
なんとなく男になっちゃったんじゃあないか。」



水嶋が分かったような事を言い、
素高の顔を見て照れ笑いをしている。

リュウにこの手の話は通じなかった、と思い出したのだ。

確かに背は伸びているし学力もあり、言葉もまともだが… 

どうも感性に晩生のところがある。

小学校へ通わなかったと言う事が、

当然受けるべき、少年らしい刺激を素通りして

中学に入ってしまったからだろうか。

だからこそリュウは、

水嶋にとっては目が話せない後輩と言うわけだ。




そして病室移動も済み、

リュウにも父の眠る部屋の隣に、
小さいがバス・トイレ付きの一部屋が用意され、

そこから学校へ通えるようになった。

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