スキトキメイテキス【BL】
 
「お前は鈍いからな。今までやったケーキ、食ってねぇんだろ?」

「…………」


 確かに、僕はほとんどと言って良いほど食べていない。

 食べていない、というか、家族に食べられてしまっているというか。


 でも、それが何だっていうんだ。

 今までのケーキに告白の文句でも書いてあったとでも言うんだろうか。

 それだったら、妹か母親が気付いている筈だ。


 2人はいつも美味しかった、とは言っても他の事なんて……。


「お前にやったのは、余りモンなんかじゃねぇんだよ」


 気付くと思ったんだけどな、って、俺様水野は舌打ちする。


「余りものじゃなかったら……」


 言いかけて、気付いた。


 多分、俺様水野は、僕へのケーキは今日みたいにわざわざ用意していたんだ。

 忙しい中、僕の為だけに……。
 
< 27 / 37 >

この作品をシェア

pagetop