スキトキメイテキス【BL】
 

「あ、あの……っ、すみません」

「それは告白の返事か?」

「いえ、そうじゃなくてっ」

「だったら謝るな」


 強い口調で言われて、僕は押し黙る。

 申し訳ない気持ちが押し寄せて、何だか胸が苦しい。


「──俺は、ケーキを作ることしか出来ないから」


 しん、と静まりかえった部屋に俺様水野の落ち着いた声が響く。

 僕は、そっと彼を見遣った。


「お前が俺のケーキを食ってない、って気付いたから、もう自分の目の前で食わすしかないって思ったんだ」


 それが、このフォンダンショコラ。


 これが、僕の好物だと思って作ってくれたケーキ。
 
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