スキトキメイテキス【BL】
 
「──…………!?」


 至近距離で彼と目が合ったかと思うと、唇の端をペロリと舐められた。


「……っな、何っ! 何するんですかッ!!」

「チョコレートが付いてる」

「つ、付いてるなら言ってくれれば良いじゃないですか!」

「嫌いじゃないんだろ? だったら……」


 大きな手に横顔を包まれて。

 気付いた時には唇が重なっていた。


 俺様水野とキスをしたんだ、と自覚した瞬間。

 恥ずかしさにも似た、何とも言い難い気持ちがこみ上げて来て……。


「顔、赤いぞ」


 唇が離れた後、僕は顔を上げることが出来ずに俯いたままだった。


「キスくらいしたことあるだろ」


 呆れた様な口調のソレに、僕は更に押し黙る。


 キスなんて、したこと……無くて悪かったな!


 どくどくと煩い心臓が恨めしい。

 こうなっているのが俺様水野の所為だからだって分かっているだけに、認めたくない気持ちが強い。
 
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