スキトキメイテキス【BL】

　
「──そうか、初めてだったか」


　何も言わないままの僕から察したのか、俺様水野が静かに言う。


「……は、初めてで文句ありますかっ!!」


　バカにされたような気がして、僕は弾けるみたいに顔を上げて思わずそう口にしていた。

　ニヤニヤとした笑みを浮かべている俺様水野が僕の後ろにやってきたかと思うと、その大きな手が僕の肩に触れる。

　そしてそのまま、僕にもたれかかるようにして抱き付いてきた。


「いや、文句なんてねぇよ。初めても2回目もその後も、俺しか知らないことになるんだな、って思ってな」


　耳元で囁くように注ぎ込まれるその声に、僕の心臓がどくんと跳ね上がる。


　キスの、その後って……。


　考えるだけでも怖くなってきた僕は、慌てて俺様水野の腕を解いて立ち上がった。