汚レ唄



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その次の日の放課後。



「……なんで?」



私が通う女子校の校門。


そこには、隣の男子校の制服に身を包んだ祐君と大輔君の姿があった。




「ん??なんだよピナ。俺の男前な顔になんかついてる?」

「誰が男前だ」

隣にいる那智の低い声が怒りを物語る。




「……そんなこと言わないでよ。那智様ぁ~」


大輔君は、那智に泣きながら引っ付いてる。


「……で、なんで今日もこんな目立つところで待ってるわけ?」

「なんだよ、那智。俺に会いたくないわけ?」



大輔君がそう言った瞬間、とんでもなく鈍い音が響いた。


   ドカッ






「…………見事な回し蹴りだ」


それだけ言うと、大輔君はそのまま倒れこんでしまった。


その様子をみていた祐君が慌てて那智に声をかける。


「あ、あの!本当は……大輔は今日も僕の付き添いで……」


那智が少しつり上がった瞳で祐君を見据えると、祐君は
「ひぃっ」
と小さな悲鳴を上げた。



まるで怪獣扱いだ。





「大丈夫よ。あなたは信用してるから」

那智は笑いながら髪をサラっとかきあげた。



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