汚レ唄
「陽〜菜ぁ〜。コレ、さっきの借りた分」
お兄ちゃんがお金を持って降りてきた。
「陸!!帰ってたの??」
お母さんの驚いたような声。
「今日は早いのね」
「うん♪ちょっとねぇ」
お兄ちゃんとお母さんの会話。
その間に服を着替えてこよう。
お兄ちゃんにもらったお金を握り締めて部屋に行く。
このお金はもう使わずに残しておこう。
ふと、手首の傷が目に入った。
……この傷は、弱い私がつけたものだけど、でも、これを見ると、強い自分になれる。
後悔なんてしてない。
恥ずかしいとも思わない。
そっと一筋の線を撫でた。