alternative
基地防衛戦
時雨がストレッチャーに乗せられて手術室へと搬送される。

「呼吸停止、脈拍も弱まりつつあります!」

「時雨曹長!時雨・テスタロッサ・タチバナ曹長!聞こえますか?」

看護兵が呼びかけるものの、時雨の反応はない。

瞳孔が開きかけている。

傷口からはとめどなく溢れ出る血液。

ストレッチャーからも滴り落ち、廊下に点々と赤い染みを作っていく。

「っ!心停止確認!電気ショックの準備を!」

「駄目です、間に合いません!」

軍医の声に看護兵が首を振る。

すかさず軍医が腕時計を見た。

「…止むを得ん。午前2時38分、死亡確認。これより『計画』に移行する」

「はっ、はいっ!了解しました!」

数人の看護兵、そして軍医が時雨を手術室の手術台へと乗せかえる。

(なんだ…?)

辛うじて残る意識。

その意識の中で、時雨は声にならない声を上げていた。

(待て…生きている…私は生きているぞ…)

だがその声も、軍医達には届かない。

メスが、見た事もない器具が、訳のわからない薬品が、時雨の肉体に近づいてくる!

(止せ…やめろ…私はまだ死んでいない…やめろ…やめろ…!)

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