alternative
手紙と言えば聞こえはいいが、紛れもなくそれは遺言。

かつて太平洋戦争の際、神風特攻隊が出撃の前に親や家族に対して残した手紙と同じ意味合いを持つものだった。

その遺言を。

「っあ!」

突然食堂内に入ってきた皓が掴み取り、グシャグシャに丸めて窓から投げ捨てる!

「おい、何するんだよ」

「手紙なんか作戦が終わった後でも書けるぜ?」

皓はニッと笑う。

「『俺達はAOKの親玉をやっつけて、日本を救った英雄になりました』ってな」

「皓…」

考えなしと言えばそうかもしれない。

楽観的と言えばそうかもしれない。

しかしそんな皓に、時雨分隊の仲間達は幾度となく助けられてきた。

これまでも、そして恐らく『Operation Daybreak』でも。

皓が歳若く、希望を捨てない子供だからこそ、晴達は救われてきたのだ。

「よくも手紙丸めて捨てたな?もう朝飯の梅干し食べてやらないからなっ」

「えーっ!?」

皓のしかめっ面に、晴は屈託なく笑った。

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