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「よし、次」

指差されたのは白髪のアメリカ人。

時雨よりも頭一つ高い。

「ラルフ・ハミルトンです。よろしくお願いします」

「……」

時雨が手にした資料を見る。

この徴兵制度は『日本軍』としてではなく『国連軍』としてのもの。

故に国籍は関係なく召集される。

そして…。

「貴様は1984年のアサバスカ殲滅作戦時にカナダ付近にいたのだな…」

「はい。俺自身は幼かったのでよくは覚えていませんが」

「そうか…」

あの因縁の地で生まれた子供が、第207訓練分隊に入隊するか…。

これもまた因縁だな…。

時雨は不思議な運命のようなものを感じずにはいられなかった。

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