alternative
その時。

「バーカ」

皓が子供じみた挑発を晴に投げかけた。

ムッとする晴。

「皓…馬鹿はないだろう…」

「いーや馬鹿だね」

小憎らしく舌を出して、皓は晴に言う。

「死ぬのが見たくないなら、守ればいい事じゃないか」

…皓はこれまでの話を、きちんと聞いていたのだろうか。

晴はそんな思いすらして、腹立たしくなった。

「簡単に言うな!俺一人で分隊の仲間を全員守る事が、どれだけ難しいか…」

言いかけた瞬間。

「だから馬鹿だってんだ!」

皓は晴にツカツカと歩み寄り、その胸ぐらをグッと掴んだ!

「俺達は何の為に六人いるんだ!」

「……!」

当たり前の、しかし気づきもしなかった言葉に、晴はハッとした。

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