あたしを愛して。


電話越しでも分かる真由の震えた声が聞こえた。






『だってあんたは由真じゃないもの。あたしが由真。



あんたは真由よ』


「・・・なに・・言ってるの?」


頭が痛い。



『あんたが真由。・・・蓮の浮気相手の真由よ』


「嘘だっ!あたしは由真よっ!」


『・・・』


「真由はあんたよっ!あたしが由真よ!」



あたしが由真だ!

蓮の彼女の由真だ!




「真由・・・あんたは狂ってる」


「・・・真・・由」



興奮して真由が部屋のドアにいるなんて気づかなかった。



「・・・・れ・・ん?」


真由はあたしの後ろの蓮に気がついた。



「なんで真由があたしの部屋にいるの?」


「蓮があんたの所に行くって・・・怖くなって見に来たら・・・それ・・蓮なんでしょ?」




真由は涙を溜めながら蓮を指さした。



「そうだよ?」


言った瞬間、真由は膝から崩れた。


「蓮・・・蓮・・れ・・ん」


「真由?あんたが泣ける立場じゃないでしょ?」


あんたは浮気相手なのよ?


「真由・・・あんたは真由よ・・分かってよ」


「まだそんなこと言ってんの?あたし騙されないわよ」


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