微熱-関谷side-
それから、テーブルの上に置かれたままの食べかけのフルーツを凝視する。まるで、未知の世界のものでも見るかのように。
「誰か来てたんだ?」
静かな声色、だけど鋭い瞳に内心舌打ちをする。おまえは俺の恋人か。
「優菜?違うよね、あの子なら確実に甘ったるい残り香がするし。てことは、高見さん?この完全な気配の消し方は絶対そうでしょ?あの人、絶対どこか機械で出来てるよね」
スラスラと声に出す多空は、女なら誰でも見とれてしまうだろう微笑を漏らす。
「…おまえは少し黙れ」
俺はもう一度深い溜め息を落とした。