微熱-関谷side-

多空はそんな俺に構わず、サラサラの髪に指を通す。


「ふぅん?中々…。焦れったいと思ってたら案外うまくいってるんだね」


薄い唇がクッと上がる。女はこいつのこーゆう中性的な部分に惹かれるんじゃないかと思う。何にしても、俺からすれば面倒くさい奴。



「それで、抱いた?」



ほら、な。面倒くさいだろ。



「おまえには関係ない」


俺は煩わしく言い放つ。まだ本調子でない体が怠い。もう一刻も早くこいつを追い出して眠りにつきたい。



「…優菜は知ってるの?知らないよね?相変わらず罪な男」



卑屈な多空の声に、苛つく。俺は構わず不機嫌に目を細めた。


< 8 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop