「春夏秋冬」
線香花火が消えてしまって、辺りが暗くなった。
殆ど何も見えない。
しかし。彼の唇に何かが当たった。
柔らかいそれは、とても甘かった。
しばらくそうしている。
夜は、まだまだ長い。眠ってしまうには、まだまだ惜しいのだ。
旅館に帰って、泣いている彼女を慰めている。
いつものような元気が感じられない。楽しい、冗談めかした彼女はいなかった。
純粋な、小さな少女が隣にいるだけだった。
その夜、二人は溶けてしまった。
終わった後、彼は胸の中にあったもやもやが、どんな理由で生まれていたのかを知った。
はだけた浴衣を直している彼女。
朝起きたときにはそんな光景が見えたのだった。
今日も、日差しが強いようだ。日焼けしてしまった肌が痛む。
帰り支度をしているときだった。彼女が、不意に。
「ね。あの夜の続き。」
「え・・・?」
「だからぁ・・・。」
「はいはい。」
二人は、またキスをして。
小鳥のついばむような、軽いものだったが。彼女はいつものように笑っていたのだった。