始まりの音-絶対温度-
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「高見ー!!あのストーカー男をどうにかしなさいよ!!」
祥子ちゃんに告白して数日。毎日の愛の包容はまだ祥子ちゃんには届かない。
「…なんであたしが」
「あんた委員長でしょーが!!」
まくしたてる祥子ちゃんに、祥子ちゃんのクラスの委員長は別の人だよ、と言ってみたくなったけど、鉄拳が飛んできそうだったんでやめた。
高見さんは俺をチラリと眺めると、
「…犬みたい」
眼鏡の奥の透明な瞳がひどき澄んでいて、ひとつも隙なんてないのに、そう零した声が何故か俺を捕らえて、この時初めて、高見さんと真正面から対峙した。
「わんっ♪」
ふざけて犬の真似をした俺に、高見さんは一瞬考える様な仕草をしてから、祥子ちゃんをチラリと眺めて、フゥと息を抜いた。