始まりの音-絶対温度-
「祥子ちゃんって、あの祥子ちゃん?」
不意に会話に入った俺に優梨が嬉しそうに顔を向ける。
「そうそう、松前祥子。あの子最近『眼鏡』にはまっちゃってうざいんだけど」
綺麗にカールされた睫毛をバサバサさせながら優梨はその『眼鏡』やら祥子ちゃんの悪口を始めたら中々止まらない。
そんな事に興味ないんだけど。
優梨はもう一人ショートカットの勝ち気そうな顔をした子とその祥子ちゃんとよく一緒にいる。三人とも目立つ部類なんじゃないかな。『眼鏡』は多分委員長の事。見かけ通りキツい性格らしいね。
そういえば、最近祥子ちゃんが委員長さんに絡んでいる所をよく見る。
俺の意識は優梨からすぐに離れた。