始まりの音-絶対温度-
「めちゃめちゃ美人だよなー松前祥子。なんで連れてこねーの?」
真也が首を傾げる。
確かに、優梨が祥子ちゃんを連れて来た事はない。いつも一緒にいるのに。まあ、その理由は聞かなくても分かる。
「えー、別にー、あの子性格悪いしー」
優梨は髪を指先でクルクルさせながら上目遣いに視線を上げた。
そんなん理由じゃないよね?
優梨の場合は自分より綺麗な子がこの場所に来るのが嫌なだけだ。本当、女って浅はか。まあ、そこが可愛いんだろうけど。