【短編】Christmas Present
「すいません、今日運ばれた藤崎拓都の病室って、どこですか!?」



息を切らせて、冬なのに汗をかかんばかりの私をみて彼女は少し驚いたようだったが、優しい笑みを浮かべて調べ始めた。



…そんな営業スマイルはいいから、早く!



安心させようとしてくれた彼女の優しさは、焦りの前には効果なしだった。



「えっと、藤崎さんなら105ですね。」



ろくに礼も言わないまま、私は駆け出した。



105って、どっち!?



天井から吊り下げられた案内をにらむように見上げ、病室を探す。



見つけた!



私は“100~”と記された案内板が吊ってあるほうにまたダッシュ。



ノックをした瞬間には、引き戸を開けていた。



「拓都!?」



一番手前に、ベッドに横になった拓都と、そばのイスに座った公子さんがいた。



一瞬、わいわいと賑やかだった病室が静かになる。



しかし次の瞬間にはまた騒がしくなっていた。



「嗄雪ちゃん…。」



公子さんが静かな声で私を招いた。



私は脱力して、パイプ椅子に崩れこむ。



「よかったぁ、元気じゃん…。」



包帯でグルグルだったらどうしようかと思った。



そうね、大事無くてよかったわね。という公子さんに、突然拓都は叫んだ。



「よくねぇよ!!!」



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