ならばお好きにするがいい。
 
もぐもぐとパンを口に詰め込んでいる先生の横顔に、思わず口元が緩む。


普段はテレビ画面に映るアナウンサーの綺麗なお姉さんと向かい合いながら、一人で食べている朝食。


今、テレビはついていない。


お姉さんの代わりに、先生がいる。


誰かと一緒に食べる朝食って、こんなに美味しいんだ……。


「こら、キャベツ残ってんだろーが。ちゃんと全部食え」

「キャベツもういい。先生にあげる」

「あげるじゃねーよ、チビ。野菜食わないと頭良くなんねーんだぞ」

「いやだあああ、キャベツやだあああ、青虫になってしまう~」


先生はどんな料理を作っても「うまい」って褒めてくれる。全てのお皿を空っぽにしてくれる。


それが、すごくすごく嬉しかった。





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