愛詩-アイウタ-
 先輩なんて大嫌いだった。その分後輩には優しくしようと思えたし、かわいがろうと思った。


 ただ先輩が嫌いなわけではなくて、理由も説明されずに指図されるのが嫌いなだけだったけど、先輩は気付くこともなくて。



 内心、バカだなぁと思ったのも事実。


 別に、メニューにいちいち説明しろなんて言ってないのに。


 陸上部はタイムが先輩よりよくなると、陰口が多くなる。そんな部活。



 だからもう、高校では部活には入らない。また下っ端から始まるのは嫌だった。



「はぁ~」


 るぅは、また部活に入ってんのかな…



 男子の部活はネチネチしてない分、さっぱりしていると思う。


 だとしたら、楽しいのかもしれないけど。



「光璃?」


 大分考えてしまっていたらしい。


 ゆみが心配気に顔をのぞきこむ。


「あっ…あぁ、ゆみ、なぁに??」


「もぅ~目がぼうっとしてたよ?」


「ごめんごめん~」


「いや、いいんだけどね。それで、誰か呼んでるよ?」



「え?」



 ゆみがさす指先をたどる。


 …るぅだ。




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