愛詩-アイウタ-
 光璃は少し進んだところで振り返る。



 6組前に瑠架がいる。



「るぅ~!!」



 出せるだけの声を出す。


 瑠架は気づいたのか、立ち止まる。


「次はひぃが遊びに行くね!!!」


「おぅ!」



 返事が返ってきたことが嬉しかった。



 言い終わったあと、るぅが笑った気がした。


 ガララ!


 教師と目が合う。


「こら!そこの女生徒!!」


「きゃっ…すいませんね!」



 3組の針屋だ。若いくせにしゃしゃって、松田先生に嫌われている。


 だからひぃは多分平気。



 小走りで2組に入ると、針屋は3組に戻る。



「光璃、おはよ!」



「美夜、ちか、おはよ」



 やはり松田先生は来てない。ルーズでありがとう!



 歩いてゆみの席の前へ行く。自分の席だ。



 ストンと座ると、周り、特に女子から視線がある。



 “笑った方がいいって”その言葉を信じて、沈んだりはしない。


 不意に、ゆみに背中をつつかれる。


「くすぐったい~」


 振り向くと、質問される。


「瑠架君、どうしたの?」



< 30 / 74 >

この作品をシェア

pagetop