愛詩-アイウタ-
 大きな声で言ってみる。



 バイトなんて、部活の延長って思えばいいのかな?




「おはようございます~」




 ゆみも入室。



「あっ…店長!」



 店長?



 店長らしき人はいちご柄の腰巻きエプロンで、髪にはバンダナ。20代後半くらいで若く見えた。


 いいな。若店長(笑)


 その若店長はゆみと話している。途中“光璃”と聞こえたから、多分バイトの説明。


「あなたが光璃ちゃん?」



「は、はい!」



 いきなり話をふられたので少し戸惑う。




「店長っ!わたしともうひとりは新アルバイトなんだから光璃以外にいないって」




 タ、タメ語!?




 普通敬語では??



「あぁ、ウチはフレンドリーな店なの」



 困惑に気づいたのか、若店長はそう説明した。




「私は沙里っていうよ。ゆみちゃんみたいに店長って呼んでもいいけど、名前でもいいからね」



「はい!ひぃは佐波光璃って言います!!」



「ひぃ?」



「つい、癖で…自分のことひぃって呼ぶんです」




「へぇ…じゃあ私もひぃって呼ぶわ」



「へ?」




 驚いた。




 あくまで“ひぃ”は“私”と同じ意味で使っているので、“私”と周りから呼ばれている感覚。




< 35 / 74 >

この作品をシェア

pagetop