愛詩-アイウタ-



 るぅが弾いたのは、“ヒカリ”の“奇跡”だった。




「ヒカリ、好きなの?」



「好き…かも」




「歌詞は!?」



「下手だし」



「じゃあ一緒歌う!」




 ひぃも下手だけど、とは言わない。音楽は万年3だ。



 ~♪


 奇跡を信じたんだ
 それはちっぽけだけど
 ぼくには大切なことで
 
 奇跡を語ったんだ
 夢語ったあの日
 キミと笑って歩いて

 “信じれば叶う”とか
 そう思っていたけど
 そんな簡単じゃなくて


 でも諦めなかった
 そんなあの日。


 “奇跡を起こす”
 そう思ったあの日。




 ~♪




「るぅ~ラストだけだったじゃん!」




「オレ、サビ以外覚えてなかった」



「なのになんで選ぶの?」



「秘密」



「え~」



「帰るだろ?」





 そう聞かれて、うなずく。



 そりゃ帰るけどさ。



 帰るけどっ…。




「いたっ…」



 いきなり、デコピンされる。



「るぅのバカっ」



「ふてくされてんのが悪い!」



「~もうっ」



 るぅにデコピンしようとする。



 でも、届かない…!



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