君と見た空。
僕は今来た道のほうを向き、

茜を送っていこうとした。

けれど、隣には彼女がいなかった・・・。


あわてて後ろを振り返ると、

看護師さんになにか

耳打ちされている茜が見えた。


僕は、それが終わるまで、

じっと待つことにした。


何を言っているのかは僕にはわからない。

だけど、彼女の表情が曇っているのを見て、

少し、嫌な予感がした。


「・・・わかりました。」

彼女が小さな声で言ったのが聞こえる。

と、同時に彼女がゆっくりと、

こっちに向かって歩き出した。


僕はまた、看護師さんにお辞儀をした。
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