桜、月夜、愛おもい。


「あ、そうだった。仮にも女だった」

「あんまり変わんないじゃん」


笑顔で言う咲菜を、睨み付ける。

私も口悪い方だと思うけど、咲菜ほどじゃない…はず。
少しは加減するし。

心の中ではすっごい思ってるけど。



「あ、そうだ奈津。今日一緒に帰れない?美味しそうなケーキ屋さん見つけたんだ」


まだ唸っている私に、咲菜が話題転換した。



「ケーキ!?行きたい!行く行く!」


自覚はあるけど、ホント私って現金な女だな。



「……単純…」


咲菜が小さく呟いた。

ちょっと?
ちゃんと聞こえてましたよー?


不機嫌な顔で睨むと、「あ、聞こえてた?ごめんごめん」って全然ごめんって思ってない顔で言った。



< 12 / 163 >

この作品をシェア

pagetop