桜、月夜、愛おもい。
「あ、そうだった。仮にも女だった」
「あんまり変わんないじゃん」
笑顔で言う咲菜を、睨み付ける。
私も口悪い方だと思うけど、咲菜ほどじゃない…はず。
少しは加減するし。
心の中ではすっごい思ってるけど。
「あ、そうだ奈津。今日一緒に帰れない?美味しそうなケーキ屋さん見つけたんだ」
まだ唸っている私に、咲菜が話題転換した。
「ケーキ!?行きたい!行く行く!」
自覚はあるけど、ホント私って現金な女だな。
「……単純…」
咲菜が小さく呟いた。
ちょっと?
ちゃんと聞こえてましたよー?
不機嫌な顔で睨むと、「あ、聞こえてた?ごめんごめん」って全然ごめんって思ってない顔で言った。