桜、月夜、愛おもい。



おかしい。


凛桜が違う。



目の前にいるのは確かに凛桜なのに、妙な違和感がある。


この間会った時より、あたたかくて、いい匂いで、そして――。



(……重い…?)



そう。凛桜は重かった。



いつもは、押したら突き抜けてしまいそうなくらい儚げな凛桜の身体。それが、今は大きな存在感を放っている。


それはまるで、「精」という、人から見れば不確かなものではなく、まるで一人の「人間」みたいな―――





「その通りだよ。奈津」


「!」



ハッとして見ると、そこにはさっきまでのように優しく微笑む彼がいた。



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