花にアラシ
だが、顔の形成なら華の目の前にいる嵐も、それは酷く整った顔をしていた。
中央に座り、威圧的な瞳で華を捉えたままの嵐は、顔立ちはロシア系のほりの深いもの。
ややつりあがった切れ長の瞳はコバルトブルーの色を持ち、日の光を一切受けていないような病的な白さを持つその肌に、まるで塗れたような艶めかしさと輝きを放つゆるくウェーブのかかった黒髪。
一見細身のように思えるが、Yシャツから覗く胸元は筋肉質だ。
華はふわっとした柔らかい笑みを浮かべると、どうぞ?と風呂敷に包まれた弁当箱を差し出した。
だが、嵐はそれを受け取ろうとはしない。
「……?」
華は首を傾げ、どうかしましたか?と問う。
「……帰れ」
「え?」
一瞬、あまりにも低すぎてその声を拾う事が出来なかった。
だから聞き返した。
だが。
「帰れっつってんだよ!!!!」
嵐の怒声が屋上に響いた。