花にアラシ
「…黙って聞いてれば…っ」
華は力強く足を一歩一歩踏み出し、嵐の目の前に立つ。
「あ?近寄るなメス豚が」
「…あたしのことは、なんとでも言えよ」
先ほどのおっとりとした敬語を話していた華とは口調が打って変わる。
嵐はその様子にぴくり、と反応するが、化けの皮がそうそうに剥がれたか、位の認識でしかいない。
「だけど」
俯き気味だった華がばっと顔を上げる。
至近距離で華と嵐の視線が交わった。
そして、ぱぁんと乾いた音が鳴った。
華が、嵐の頬を叩いたのだ。
「…てめぇっ!」
わなわなと体を震えさせたかと思うと、嵐は華に向かって拳を繰り出した。
それは、喧嘩で鍛えた男でも避けられるかどうかの早さ。
「嵐っ!」
焦った声が嵐の隣から聞こえるもう遅い。
その拳は華の顔面へとすいこまれた
ように、みえた。