初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
緊張の土曜日・7 「ラウンジでのこと」
 エレベーターから出ると、そこはもうお店の中。

 このフロア全部がラウンジと呼ばれる場所になっているみたい。

 落ち着いた黒にも見える濃茶の絨毯に、店内も黒で統一された落ち着いた空間。

 ゆったりとした黒い背の低い1人掛けソファーと高さを合わせた丸い黒テーブルが、広い間隔で置かれている。

「こっちだよ」

 シンさんは優しくあたしに囁き、窓際へと案内してくれた。

 大きくて綺麗な窓の外には、都会の街並みが眼下に広がっていて、なんだか壮大。

 この景色を堪能するためか、窓際の席は向かい合うタイプじゃなく、窓に向かって座るようなタイプになっていた。

 テーブルも他の丸テーブルみたいに低くはないし、椅子もスツールになっている。

 ここだと、景色を眺めながら1人で時間を過ごせるから――そのためかな?

「背が高い椅子だから気をつけてね」

 こんな椅子に座るのも当然初めてだから、あたしはシンさんの手を借りながら腰を落ち着ける。

 それからシンさんもあたしの左隣にスマートに腰をかけると、ボーイさんを呼んでなにかをオーダーしていた。
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