月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 廊下に佇むのは何度目だろう。冬海の居ない学校は、コンクリートの塊。

 部屋がたくさん並んで、人がたくさん居るだけのコンクリートの塊。

 17歳と16歳の2人だけの力じゃ、壊せない。



 ただ冬海が居ないというだけで、こんなに自分が壊れていくなんて、思いもしなくて。いくら探しても、1つピースが足りないパズルみたい。1つところか、所々穴が開いているんだ。

 コートが要る季節だ。冬海は、暖かくしておばあちゃんと過ごしているのかな。


 あなたの中では、もう終わっているのかな。あたしのことは。


 幸せだったとか、良い思い出にはまだできないでいるよ。




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