甘い部屋

もしかしたら鍵を貰いに来たのかもしれない。
絶対そうだよ!
あたしはそう思い、鞄の中から鍵を探した。


「こっち来い」

「えっ?!ちょっ…」


無理矢理腕を引っ張られると、屋上のドアを開けた。


「あの…。これ…」


あたしは鍵をイケメン君の方に差し出した。


「ん?…あぁ。鍵なら咲にあげる」

「…はい?」


…何言ってるんですかー?
これは大事な鍵ですよー??


「あそこの鍵余分に1つ作っちゃってさ、いらないからあげる」

「…意味分からないんですけど」


するとイケメン君はあたしの方に近づいて来た。


「あそこ、秘密の部屋っていうんだよ。だから誰にも教えんなよ?それと鍵は誰にも持たせちゃだめだから」

「どうしてあたしが…「分かった?」


言葉を遮られると、フェンスに寄りかかった。


「俺、流川翔也。高校3年」

「流川翔也…」


かっこいい名前…。
年上だったんだ…。
…ってそういえば何でこの人はあたしの名前を知っていたんだ…?


「んっ。忘れ物」

「あぁー!」


イケメン君はあたしの生徒手帳を持っていた。
まさか…昨日のあの部屋で落としたのかな…。


「秘密の部屋で落ちてた」


…やっぱりね。
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