ダブルベッド



 重い話ばかり聞いて、疲れたでしょ?

 今でもみんなに心配されるんだけど、大丈夫。

 自分が思ってたより心が強かったみたい。

 仕事にも救われてるし、木下くんにも救われてるの。

 どうせ涼太は帰ってこないんだもん。

 だから、気ままに生きてみようと思ってる。

 結婚はあと一歩及ばなかったけど、独身だからこそできること、たくさんしようと思ってるの。

 思い描いてた「家庭を築く」というのはなくなってしまったけど、未亡人にさえなれなかったあたしの未来は、案外真っ暗ではないなって。

 たまにどうしようもなく寂しくなってしまうけど、一過性のものだって気づいたの。

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