ダブルベッド

 みんなは着実に「大人」になっていき、自分だけが取り残されている。

 自由に暮らすことが大人であると思っていた。

 社会的な責任さえ全うしていれば、一人前の人間として扱われると思っていた。

 だけど、充はハリボテだった。

 形だけ大人のフリをして、中身がない。

 一人前としての「覚悟」ができていないのだ。

 先ほど課長に

「やっと一人前」

 なんて言われたが、とんでもない。

 今、そう、たった今。

 充はやっとたどり着いたのだ。

「一人前の入り口」に。


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