ダブルベッド



 最初におかしいと感じたのは朝だった。

 朝礼が始まっても、桃香は出勤していなかった。

「どうしたんだろうね」

 なんていう声もいくらか聞こえたが、充はその後すぐに事務所を出てしまったため、それ以降しばらくは気にもしていなかった。

 感じていた違和感が爆発的に膨らんだのは、充が帰社したときだった。

 一歩事務所に入ると、ただならぬ空気が感じ取れたのだ。

 それもそのはず。

 事務所には威圧的な制服を着た男が一人。

 背中には「警視庁」と書かれていた。

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