キスフレンド【完】
「よく分かったね」
缶ジュースを二本持って現れた紫苑は、あたしにオレンジジュースを差し出した。
「ありがとう」
「ん。今日は暑いから、水分取らないと干からびるよ」
「そうだね」
小さく頷いた後、缶のプルトップに指を引っかける。
「あれ……?開かないなぁ……」
爪が邪魔してなかなか開けられない。
ネイルにハマっているナナの練習台になっているあたし。
爪は綺麗に整えられていつもカラフルに染められている。
無理をすると爪が割れちゃうかも……。
「貸して」
すると、見かねた紫苑はそっと缶ジュースを手に取り、プルトップを勢いよく引いた。