キスフレンド【完】
「あの子のことが知りたいんだろ?それなら遠回しな言い方しないで聞けよ」
「あの子って?」
鈍感な海斗にまで心を読まれるなんて、俺は相当分かりやすかったようだ。
少しだけ悔しくてそう聞き返すと、
「姫野理子」
海斗はハッキリと姫の名前を口にした。
「お前、あの子のことが好きなんだろ?」
「さぁね」
「はぐらかすなって。そろそろ素直になれば?」
「素直に……か。なぁ、海斗。俺、姫のことを好きになる権利あると思う?」
「誰かを好きになるのに権利なんていらないだろ?」
「そうか。じゃあ、姫を置いて逃げ出した俺が今更姫に会いにいくのは?自分勝手だよな?」
「あの子だってそれを望んでるよ。あの子、今もお前しか見てない」
電話越しの海斗の声に周りの雑音が混じる。