キスフレンド【完】
【理子side】


「浮気、してんのかなぁ……」


「浮気?」


「そう。だって、最近電話もこないしメールの返事も遅いんだもん」


「まさか海斗君に限ってそんなことあるわけないよ」


「あたしもそう思ってたけど、明らかにおかしいんだもん」


ナナはテーブルの上のホットココアを口に含むと、ハァと盛大なため息をついた。


ナナは高校の卒業式の日、海斗君と付き合い始めた。


高校入学と同時にほんのりと海斗君に淡い恋心を抱いていたらしいナナ。


『このまま黙って卒業したら、後悔が残りそうだしあたし今日告る!!』


同じクラスになったこともないし、ほとんど何の接点もなかったナナと海斗君。


だけど、実は海斗君も少し前からナナのことが気になっていたみたい。


あたしの親友のナナと紫苑の親友の海斗君が付き合うなんてなんだか不思議な感じで。


だけど、海斗君と付き合ってから、すごく幸せそうなナナを見ているとあたしまで嬉しくなった。


それなのに……――。
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