キスフレンド【完】
アパートに戻る間に、何とか気持ちを切り替えようと努力した。


だけど、頭の中ではさっきの美波さんの言葉が繰り返される。


紫苑がリクエストしたハンバーグ。


どうやって作ったのかも、よく覚えていない。


「理子の作るハンバーグは世界一美味しいね」


だけど、紫苑はそう言っておかわりまでしてくれた。



「あっ。それ、そのまま置いておいて?あたしが洗うから」


お皿を流しに運ぶ紫苑に声をかけると、紫苑は首を横に振った。


「これぐらいさせてよ。理子は座ってて」


紫苑はそう言うと、スポンジを握りお皿を洗い始めた。



一緒に暮らし始めて少し経った頃、紫苑はこういった。


家のことは分担しようって。


『ちゃんと役割を決めておかないと、理子に甘えちゃいそうだから』


紫苑はそう言っていたけど、甘えているのはあたしの方だ。


料理と洗濯はあたし。


掃除とゴミだしは紫苑。


いつの間にかそれぞれの分担が決まっていて。


だけど、紫苑は手が空くとあたしのやるべきことまで手伝ってくれる。

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