キスフレンド【完】
そのとき、誰もいないと思っていた事務所の中に田中さんがいることに気がついた。


田中さんは、事務所の奥の席に座ってパソコンと向かい合っている。


「もしかして、紫苑君……彼女に黙ってこのバイトしてるの?」


「……もしそうだとしても、美波さんには関係ないです」


「そうね。確かにあたしには関係ないことよね。でも……――」


少し突き放した言い方をしても、美波さんは少しも動揺しない。


それどころか、何故か少し怒っているように感じて。
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