キスフレンド【完】

「俺、美波さんになんて言われようと彼女を裏切ることは絶対にできないんで」


「ふぅん。男はみんなそう言うのよ」


「え……?」


「君以外の女の人は愛せないって言うのも、口先だけなの」


「美波さん?」


「そんなこと言う人に限って、他の女と一緒に歩いてたりするんだから!!」


何故か急に声を荒げて怒りをあらわにした美波さん。


その言葉は俺に向けられているのかどうかも定かではない。


何気なく田中さんの席に視線を向けると、田中さんは視線をキーボード付近に落として何かを考え込んでいるようだった。


もしかして、田中さんと美波さんは……――。


ある考えが頭の中に浮かんだ。


でも、今やるべきことは一刻も早くアパートに帰ること。


「……――お疲れ様でした」


俺は美波さんとうつむく田中さんに頭を下げると、事務所を後にした。
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