-Many mind-
『あ、笑った』
あたしを見て笑みを浮かべる川瀬
『へ?』
あ、あたし今笑ってたんだ。
愛想笑いじゃなくて、
無意識に笑ってた。
あれ?なんでだろ
『お前絶対笑った方がいいよ。
学校でも笑ってればいいじゃん』
『無理だよ?あたし笑うの下手だもん
…さっきのはたまたま。
いきなり変われないよ…』
あぁもう。
なんでこんなネガティブに考えちゃうのかな。
川瀬がせっかく
気ぃ使ってくれてんのに。
申し訳なさと自分への苛立ちで
うつむいたまま顔を上げることが出来なくて。
あたしの様子を察したのか、
川瀬も黙ったまま少し沈黙が流れた。
蝉の声が脳に響く。