求愛
地元の駅で電車を降り、改札を抜けて東口を出ると、タカが待っててくれていた。


その姿を見つけ、走って飛び付いたあたしに彼は、困ったように笑っている。



「おいおい、人が見てるだろ。」


「うん、でも嬉しかったから。」


「俺はお前といると気が気じゃねぇけど。」


顔を上げるあたしと、肩をすくめて見せるタカ。



「ありがとね。」


「何が?」


「色んなことだよ。」


「………」


「タカがいてくれて良かったな、って。」


「それ、気付くの遅すぎ。」


彼は笑ってから、あたしに車に乗るようにと促した。


助手席に乗り込むと、いつもとなんら変わりない匂いにひどく安心させられる。



「まぁ、何か知らねぇけど、プチ旅行なら連絡くらい入れとけよ。」


「怒ってる?」


「っていうよりは、何かあったのかと思ったから。」


「…ごめん。」


「良いけどさ。
頼むからあんま俺の知らないとこ行くなよな。」


笑ってしまった。


これからタカが仕事を辞めて、あたしも高校を卒業して、それでもこのままずっと一緒にいられたなら。


きっとあたし達は幸せなカップルになれることだろう。

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