狼彼女のお気に入り
篠田の顔がすぐ側にある。
少し動けば触れられる距離。
「あのな…」
「知ってるよ。」
「は?」
「あたし、知ってるの。…会長が探してるもの。」
俺が探してるもの?
探してるもの……
「あぁ…!!!お、お前…テストがどこにあるのか知ってるのかっ?!」
「うん。」
うん、ってな…
テスト用紙がなかったら出来ないんだぞ?
それをそんな平然と…
………ん?
なんで知ってるんだ?
ま、さか………
いや、まさか…な
「分かってると思うけど、あたしは犯人じゃないから。」
「あ…だ、だよな。」
「………やっぱり言うのやめた」
「ちょっ…」
「何?」
「いや…だからその……」
「クスッ。じゃあさ……」
至近距離にいるからなのか、妙に色っぽく聞こえる。
篠田の指が俺の唇に当たる。
「キス。……してくれたら教えてあげる。」