優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
去年の担任の先生も、今年の担任の先生も、家の事情を理解してくれて居る。

私はお兄ちゃんより早く食べ終わり、茶碗を洗いながら、明日の朝食を準備。



「ご馳走さーん」



お兄ちゃんは手を併せた後、ソファーに置きっぱなしだったジャケットとネクタイを片付けて、お風呂へと消えて行く。

私は携帯を見る。

携帯に登録された数少ない名前の最後の部分にある“深川基槻”の部分にため息。

好きだけど、怖い…―
好きだから、怖い…――。

喜べないのは、私に自信がないから?

お兄ちゃんの存在?

…違う。

お兄ちゃんの存在を利用して、彼への気持ちの不安を解決しようなんてダメ。

私は一旦、彼について考えるのを止め、キッチンを整理して、課題をしに、部屋に戻った。




< 8 / 252 >

この作品をシェア

pagetop