優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
―基槻 SIDE―



「ご飯中にボーッとしてんじゃねぇ!」



「…うるせぇ!てか、旦那んとこ帰れ!!」



両親を前に、銜え箸をしていた俺にグチグチ煩い姉貴の、詩槻ーシキー。

20歳にして、35歳の元ヤンである旦那が居る。



「あ?もういっぺん言ってみ?」



「旦那んとこにか…」



「ケンカはダーメ!」



3歳の娘も。

姉貴に似ず可愛い陽ーヨウー。

“太陽のように明るく育つように”と、俺が付けてやった。



「陽!お前は可愛いな(笑)
兄ちゃんに似たか!」



「はっ!止めてくれ!
陽は私に似たんだよ」



俺は自分で言うのも何だか、高校で出来たダチに染められ、不良と呼ばれる部類の人間になった。

成績も落ちた……いや、ダチに合わせて落とした。
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