おかしな話だ
いや、彼ら曰く付き合ってるわけではないらしいから

正確には「カップル」ではないのだろう。

しかし

傍から見れば、付き合ってるようにしか見えない。

「あ、明日香だ!おはよー!」

夏帆が私に気づいて声をかけてきた。

「よっす。」

淳也も手を上げて自転車のスピードを緩める。

「相変わらず仲いいね。」

「はあ?だ、誰がこんな奴と…」

「そ、そうだよ…こんな軟弱男と仲良しなんて…」

二人揃って慌てて否定する。

やっぱり仲がいい。

私はからかい半分に言った。

「付き合っちゃいなよ。淳也と夏帆、お似合いだよ?」

「な…何言ってんだよ…こいつのことなんか好きでもなんでも…」

真っ赤になって首を振る淳也。

それに対して夏帆は無言で俯いているが、照れ笑いを浮かべていた。

「ほら、夏帆だってまんざらでもなさそうだよ。」

そういう私の言葉を聞くと、夏帆は真っ赤な顔を上げて言った。

「そんな…まんざらだよ…」

「…ん?」




おかしな話だ。
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