俺様彼氏と空手彼女2
「あと、トイレのタイルを拳一つで砕いただとか…」
あ、それは覚えが…。
「だからずっと、牧瀬先輩は怖い人なんだと思っていました。どうして先輩が牧瀬先輩と付き合っているのかもわかりませんでした」
う…、瑞代さん結構キツイ…
「でも、今日牧瀬先輩と話してようやくわかったんです。先輩が言っていたことが」
「…ああ。」
「先輩が牧瀬先輩を好きな理由がよくわかりました。それから、私じゃかなわないってことも」
「…あいつには、俺もかなわねぇよ」
ふっ、と笑う葵。
「あいつ程、バカみたいに正義感が強くて、バカみたいに一生懸命で、バカみたいに真っすぐで優しいやつは他に知らねぇ。」
「…っ」
葵のその言葉に、私は目頭が熱くなるのを感じていた。
「きっと、お前にも見つかるよ。自分より大事なもんが」
「…はい。」
「じゃあ、俺の今日の分の仕事は終わったし教室に戻る。放課後は真っ直ぐ帰るから」
「わかりました」