俺様彼氏と空手彼女2
「っ!」
私は堪えきれなくなって、逃げ出そうとした。
そんな時だった。
「…悪い、瑞代。」
「…!」
その声で逃げ出しかけていた私の足は止まった。
葵のその答えに、ほっとして喜んでいる自分がいる。
私、最低だ。
瑞代さんは本気で葵が好きで、勇気を振り絞って告白したのに。
その想いが伝わらなかったことを、喜んでいる。
なんてひどいんだろう。
ごめんなさい、瑞代さん…。
私も、葵が好きだから。
葵は…。葵だけは渡したくない。
ごめんなさい…。
「…ふぅ。やっぱりそうですか」
「すまない…。」
「謝んないでください。答えは、もうわかっていましたから」
苦笑を含んだ瑞代さんの声に、私の胸は苦しくなった。
「牧瀬先輩のことは、色んな噂を聞いていました。一人で男子100人を病院送りにしたとか。」
…いや、してないよそんなの!
もう慣れたけど…、だんだんエスカレートしてる気がする…。