生きた証 SILENT VOICE
びっしりと色々な病気が記されている

彼女はあるページで手を止めた

「失声症」

そこまで重い病気ではないみたいだけど

ストレスによる発声障害

呼吸困難を引き起こす場合もあるらしい

女の人の方が多い症状らしい

『ストレスを感じる何かがあるの?』

彼女は首も口も動かしてくれない

やっぱり

あまりにもお互いを知らない為だろう

彼女は本を閉じて鞄にしまった

『俺達まだ全然お互いを知らない。でも、俺は君の事放っておけそうもない』

優しい目はずっと俺の目に照準を合わせて

決して逸らそうとしない

『メールしない?』


わたし

なんかで

よければ


彼女はまたニコッと笑った

嬉しかった

メルアドを交換しただけだけど

それは

小さいようで

大きなきっかけの一歩だって

そう思えた
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